2006 Fiscal Year Annual Research Report
世界経済成長期における英系資源企業と英連邦経済の役割:1950-1970年
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18730228
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 歩 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10374886)
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Keywords | 英系資源企業 / リオ・ティント社 / 英連邦 / カナダ / オーストラリア / ウラン |
Research Abstract |
本研究の初年度である平成18年度は、研究計画通り英系資源企業のリオ・ティント社に関する史料収集を行った。史料収集の対象は、リオ・ティント社の英連邦諸国、特にカナダとオーストラリアへの投資である。対象時期は1950年代前半である。史料収集は、英国国立公文書館およびリオ・ティント本社(英国)にて行った。収集史料の検討の結果、現在明らかになっている点は以下の通りである。1950年代のリオ・ティント社の英連邦投資においては、ウランが主要な開発対象資源であった。1950年代にはウランの買い手は政府に限られることや、鉱区開発許可の点から、資源企業と政府(この場合は、買い手であるイギリス政府および開発許可に関わるカナダとオーストラリアの各政府)の交渉が重要性を持っていた。リオ・ティント社はまた、ウランの買い手であるイギリス政府から開発資金の融資を得るための交渉も行っていた。リオ・ティント社のカナダおよびオーストラリアにおけるウラン鉱床調査は、同社がスペインの銅鉱山をスペイン政府に売却することを決定した1953-1954年にかけて行われた。したがって、この時期のリオ・ティント社の英連邦諸国におけるウラン鉱床調査は、同社のビジネスの地理的多角化(スペインから英連邦諸国への転換)と製品多角化(銅から銅+ウランへの拡大)の出発点となった。以上の検討により、リオ・ティント社のウラン事業への進出の意思決定過程とイギリス政府の原子力政策との関連の検討が新たな課題として発見された。
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