2007 Fiscal Year Annual Research Report
世界経済成長期における英系資源企業と英連邦経済の役割:1950-1970年
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18730228
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 歩 Tohoku University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10374886)
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Keywords | 英系資源企業 / リオ・ティント社 / 英連邦 / カナダ / オーストラリア / ウラン / 原子力 |
Research Abstract |
H19年度は、研究第2年次であった。本年度も研究計画通り、海外での企業文書館と国立公文書館での資料収集を行った。公文書については、英国公文書館において英系資源企業リオ・ティント社と英国政府、カナダ政府、オーストラリア政府との関係についての資料を収集した。前年度の資料調査の結果から、リオ・ティント社のウラン事業への進出の意思決定過程とイギリス政府の原子力政策との関連の検討が追加的な検討課題となっていたためである。調査の結果、リオ・ティント社の鉱床調査については、カナダの場合は、他の調査会社に外部委託を行ったが、オーストラリアの場合は、自社内の調査部門が調査を行っていたことが明らかになった。この違いをもたらした原因の解明が次の重要課題である。また、今回の資料収集では、リオ・ティント社のオーストラリア子会社の操業に関する多くの資料を入手することができた。この子会社関連の資料により、オーストラリアでの子会社の操業の際、イギリスの原子力公社からの融資があったこと、オーストラリア政府とリオ・ティント子会社とのウラン売却交渉において、オーストラリア政府は、イギリス原子力公社への売却価格よりも安い価格を要求する交渉を行っていたことなどが明らかになった。これらはまだ今後の検討の手がかりにとどまるが、資源企業と関連諸国政府との関係を考える際の指針となる。また、今年度は、英連邦諸国側に関して、オーストラリアのANZ銀行での資料収集を行った。ANZ銀行の資料はオーストラリアの資源開発と資源輸出金融の検討のための手がかりとなる。また、H19年度には、H18年度の収集資料を利用した研究成果を学術雑誌掲載論文「リオ・ティント社の対カナダ投資「として発表することができた。
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