2006 Fiscal Year Annual Research Report
IMF体制におけるドイツ・マルク(1958〜1973年)
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18730232
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
石坂 綾子 愛知淑徳大学, ビジネス学部ビジネス学科, 准教授 (40329834)
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Keywords | ドイツ・マルク / ドイツ・ブンデスバンク / 国際通貨基金(IMF) / マルク切り上げ |
Research Abstract |
研究代表者・石坂は,研究期間の初年度にあたり,まず研究課題にかかわる文献のサーベイを行った。1950年代以降のドイツ・マルク,ドイツ・ブンデスバンクの通貨・金融政策,国際通貨体制などにかかわる研究文献を通観し,従来の研究成果と残された課題を整理した。ドイツの貿易パートナーが西ヨーロッパ諸国に偏重したことに始まり,ドイツが国際貿易・金融市場に深く組み込まれるにつれて新たな問題が発生した。ドイツは固定相場制下の国際収支均衡と国内安定を同時に達成できないというジレンマに直面した。この内外経済不均衡の解決策をめぐっては,ドイツ国内のみならず国際的にも大きな議論を呼んだ。この議論は,アメリカの国際収支危機やドルの動揺を背景にIMF体制そのものを揺るがす問題へと発展していった。61年3月のマルク切り上げまでの経緯については,「1950年代西ドイツにおける内外経済不均衡-「社会的市場経済」のジレンマ-」(権上康男編著『新自由主義と戦後資本主義-欧米における歴史的経験-』第7章所収)において公表した。 上述の分析から研究課題への接近において重要な論点が見い出された。マルクとIMF体制との関連を明らかにするにはドイツ所蔵の資料のみでは限界があり,国際通貨基金(IMF)内部における議論からマルクの動向について検討することはできなかった。したがってマルクとIMF体制との関わりを明らかにするためには,アメリカでの資料調査が不可欠であると判断し,IMF資料室,中央銀行間の協力においてブンデスバンクと有力なパートナーであったニューヨーク連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of New York)資料室,国立文書館(The National Archives)において資料調査を行った。来年度以降は,このような資料分析に基づいた実証研究をさらに推進する予定である。
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