2006 Fiscal Year Annual Research Report
近世における賃労働の総体的把握:労働史関係資料の収集・整理と公開
Project/Area Number |
18730233
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Research Institution | Nara Sangyo University |
Principal Investigator |
武谷 嘉之 奈良産業大学, 経済学部, 助教授 (70341047)
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Keywords | 建築史 / 労働史 / 近世史 / 職人 / 労働時間 / 賃金 / 大工 / 普請 |
Research Abstract |
18年度は主に史料調査に力を注いだ。当面、近世労働関係史料のうち、比較的研究の蓄積がある建築職人関係に対象を絞り、経済史、建築史などの先行研究をサーベイした。そこで利用されている史料等を調査した上で、各地の図書館等が所有する文書の目録等にあたり、普請に関する雇用に関わる史料を撮影した。ただし既にマイクロ化されているものについては、いったんプリントアウトしたものをスキャナによりデジタル化した。総コマ数としては1万を超える。原則として、幕府や、藩が公権力を背景として行った普請、作事については対象から省いた。主な史料としては鴻池家文書、三井文庫所蔵文書、鈴渓資料館所蔵文書、山口県文書館所蔵文書、加越能文庫所蔵文書等である。時期的には17世紀から20世紀初頭のものまでを含む。これらの史料は断片的なものが多いが、網羅的に調査することによって、同時点での賃金の地域比較等が可能になるのではないかと考えている。今後詳細に検討する予定であるが、一見しただけでも建築に従事している職人集団の内部構造が明らかになるような史料は極めて乏しい。 その中で鴻池家文書については以前に調査した史料も含め、かなり立ち入った分析が可能であると考えられる。また三井文庫所蔵文書については時系列的な研究が可能であり、これについては先行研究が存在するが、今回撮影した他の地域の断片的な史料と照らし合わせる中で、さらに新たな発見があると思われる。
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