2008 Fiscal Year Annual Research Report
大学発ベンチャー企業によるオーファンドラッグ市場の創出可能性に関する研究
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18730241
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 由希子 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 助教 (00361676)
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Keywords | オーファンドラッグ / ベンチャー起業 / 知的財産 / 技術移転 / 難病対策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大学発ベンチャー企業による希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の新規市場創出可能性について、薬事法制度改正及び医薬品業界再編の視点を踏まえて検証し、大学発ベンチャー企業の更なる活性化に関する政策提言を担当府省に対し行うことである。 本研究期間にて、大学発ベンチャー企業の位置づけを再確認するため、大学発知的成果を用いた社会貢献のあり方について検討した。その結果、日本の大学発知的成果は、1)市場経済型、2)地域振興型、3)公共財型、の3つにわけられることが明らかとなった。大学発ベンチャー企業は、1)を主目的として設立されているが、研究分野によっては、他の項目においても存在価値があると判断した。 また、世界市場を対象とした製薬企業と、国内市場を対象とした製薬企業との二極化はますます加速し、その結果、数十億規模の医薬品市場が新たに創出されることを明らかにした。さらに、大学発知的成果を活かすことができ、かつ、大学発ベンチャー企業と製薬企業(特に世界市場型)との共存可能性も予想される新規市場として、当該分野の存在を明らかにした上で、市場発展に対する課題についても考察した。さらに、「国内外に対する日本発OD情報ポータルの構築」および「OD分野に興味を持つ研究者ネットワークの構築」「海外機関との積極的な研究連携および情報共有」についてもそれぞれ実施し、OD治療研究の効果的な推進のための今までにない国内外を巻き込んだネットワークを構築した。本研究期間中に、当該分野における世界レベルのネットワークを構築し、NIH、Orphanet(フランス)、NORDをはじめとした、世界有数の識者らと、連携に関する様々な対話を開始することができた。また、海外からも、本活動の重要性を認められることができた。 本研究の中で、研究成果創出レベルから脱し、社会実装レベルにおける議論へと移行しつつある本分野について、多くの課題もまた浮き彫りとなった。特に、当該市場に必要な人財とその創出(異動)に関する課題や、市場につなげる(創薬上市に至る)まで、またそれにとどまらず患者の手元に届くまでに必要な国からの(特に金銭的支援以外の)助成の在り方については、海外ではOD先進国で議論が始まっているものの、日本ではほとんどなされていない。OD薬を創り上げる人財に対する助成についても、米国・欧州と比べると、日本では金銭的助成事業は積極的に実施されているが、アメリカで実施されているような「アカデミア研究に対する人的支援事業」や、欧州で実施されている「国際的共同研究事業」といった、基礎研究枠を超えたスタイルの事業に
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Research Products
(9 results)