2006 Fiscal Year Annual Research Report
自動車産業におけるサプライチェーンのリスクシェアリングに関する戦略とマネジメント
Project/Area Number |
18730245
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Research Institution | Onomichi University |
Principal Investigator |
下野 由貴 尾道大学, 経済情報学部, 講師 (20379473)
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Keywords | サプライチェーン・マネジメント / 自動車産業 / リスクシェアリング / 企業間取引 / 変動対応力 |
Research Abstract |
本研究は、自動車産業を対象として、サプライチェーンを構成する自動車メーカーと部品メーカーの間のリスクシェアリングメカニズムについて明らかにすることを目的としている。サプライチェーンの全体最適化を実現するためには、取引企業間において、どのようなリスクと利益の分配を行う必要があるかという問題について、主として企業へのヒアリング調査に基づいて考察を行っている。本年度は、欧州に進出している日系自動車メーカー、自動車部品メーカーへのヒアリング調査を行い、部品取引における価格や数量の調整メカニズムの日欧比較を行った。具体的には、調査は2006年9月に行われ、欧州大陸やイギリスで事業活動を行っている日系自動車メーカー3社、日系自動車部品メーカー3社を訪問した。 調査の結果、日系自動車メーカーの取引調整メカニズムが、欧州のローカル自動車メーカーのそれとは異なる特徴があることが明らかにされた。サプライチェーンにおいて発生するさまざまな変動リスクに対して、どの主体がどのように対応するかによって、リスクシェアリングのメカニズムが異なる。日系自動車メーカーが構築するサプライチェーンでは、日系自動車メーカーが中心となって、一時点だけではなく、長期的な時間幅のなかでリスク負担の調整を行う時間的シェアリングや、一地域だけではなく、全世界の工場などの拠点の需給バランスをとる空間的シェアリングを行うことによって、サプライチェーンの一部分に過度のリスク負担が集中することを回避していることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)