2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730246
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松嶋 登 神戸大学, 経営学研究科, 助教授 (10347263)
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Keywords | 経営戦略 / 半導体産業 |
Research Abstract |
平成18年度の研究は、当初(1)先行研究の整理と(2)半導体産業の戦略変遷を分析することを予定してきた。しかしながら、本研究の初年度である今年度は、(1)先行研究の整理と(2)業界分析の双方において、当初は予定されていなかった部分でも大きな進捗が見られた。 まず(1)先行研究の整理であるが、当初の予定通りに戦略を競争的な社会的構成物として捉えるアクターネットワーク理論について精査し、経営戦略を捉える新しい枠組みとして検討し、これを論文としてまとめた。加えて、新たに組織制度論という企業の社会的環境を論じる研究領域のレビューに着手し、技術的環境を前提とする従来の戦略論とは異なった企業の戦略的行動を捉える分析枠組みを検討している。この研究成果は、来年度に論文化される予定である。 次に(2)業界分析であるが、(1)当初に予定しなかった業界の分析と、(2)当初の予定をより理論的に焦点化した分析を行うことができた。まず(1)当初に予定しなかった業界の分析としては、オンライン証券業界の競争構造を多面的に検討できた。この分析に当たっては、共同研究者からマーケティング研究の「競争的使用価値」について詳細な研究助言を受け、マーケティング研究と経営学研究の理論的融合を果たすことができた。(2)それから、当初の予定をより理論的に焦点化した分析としては、日本の製造業の変化を歴史的な制度変化として捉えた。この研究は、とりわけ日本のサプライヤー企業の行動変化が観察されたNCネットワークの事例分析を契機にしている。既に同社のケースは執筆されているが、より歴史的記述を重視し、制度変化という観点からの分析的記述を行うことが今後の課題である。 その他の関連する研究実績としては、量的データを分析するための方法論を整備し、またこれを具体的な事例に当てはめて分析してきた。この方法論は、来年度以降のサーベイ調査の際に活かされる予定である。
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