2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活文化・時空間消費型産業の海外進出に関する国際比較
Project/Area Number |
18730268
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
今西 珠美 流通科学大学, サービス産業学部, 助教授 (70319896)
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Keywords | 国際経営 / 海外進出 / 現地経営 / 多国籍企業 / 旅行 / エスニック / 文化 / 自民族 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生活文化・時空間消費型産業の海外進出について国際比較を行うことにある。具体的には、旅行産業における海外進出の国際比較を行う。本年度は主要3地域(欧州・アジア・北米)のうち欧州を取り上げ、本域での旅行産業の海外進出の実態把握と整理、ならびに現地調査を実施した。前者については文献・資料収集、対象地域の産業構造および企業の海外進出状況を捉えた。後者については2社の調査を行った。在欧日系旅行企業からの協力は快諾を得られたが、非日系企業からは得られなかった為、非日系企業の個別調査は実施していない。 研究からの新たな発見は次のとおりである。第1に、欧州でも個人自由旅行化が企業の従来のビジネスの有効性に負の影響を与えていることである。ローコスト・キャリアとインターネットの出現が、既存の多段階の流通経路を経由しない手配傾向を進展させている。その為、欧州では生き残りをかけた国境を越えた企業の買収・合併が行われ、有力企業の巨大化、寡占化が顕著になっている。だが、統一ブランドではなく、傘下企業が既存ブランド、ロゴ等を利用して従来の域内で活動を展開、TUI社がそれらを管轄するという構図である。巨大企業の傘下企業が個別市場でプレーし、自民族市場を取り扱うというエスニックなスタイルが観察される。この点で日本の企業研究から導出されたエスニック・モデルの欧州への適応可能性が伺える。第2に、在外日系企業の本国志向への回帰である。買収により拠点網を拡充する欧州企業に対し、日本企業は自社設立により拠点網の拡充を図ってきた。現地化促進の為の努力が講じられてきたが、予約の間際化、手配内容の複雑化に伴い、本国との迅速かつ正確なコミュニケーションの必要性から、特に本国側からの日本(語)化への要求が高まり、エスニック・モデルが強化されている。欧州と日本の双方についてエスニックなスタイルが発見された。
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