2006 Fiscal Year Annual Research Report
繊維・アパレル産業の制度的・文化的環境に関する国際・地域比較研究
Project/Area Number |
18730269
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Research Institution | Tokuyama University |
Principal Investigator |
大田 康博 徳山大学, 経済学部, 准教授 (90299321)
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Keywords | 繊維産業 / アパレル産業 / 中小企業 / 産地 / 下請企業 / 制度 / 文化 / 企画・開発 |
Research Abstract |
2006年度には、国内外の文献を収集しつつ、夏期にイタリア、フランスを、2007年3月にイタリア調査を実施した。競争のグローバル化によって、イタリア産地が急激に縮小し、業界の再編が振興していることを実感するとともに、グローバルな調達を生かした新たな業態が台頭していることが判明した。産地が縮小したとはいえ、中高級品を生産している企業の競争力はある程度維持されているし、素材の多様化や内製化など、様々な取り組みがおこなわれていた。また、各地の展示会が統合されたり、地域レベルの産業支援体制を充実させたりしていることが明らかになった。 フランスでは、企画・開発活動を支援する業態の活動体制や、移民労働力の重要性を理解することができた。前者については、トレンド情報を創造する上で多くの資金が投下され、国際的なサービスネットワークが形成されているということが重要である。後者については、出身国にとらわれないオープンなネットワークが形成されており、パリのファッション情報・機能と結びつきながら、自社ブランド企業、さらには自社製品の高級化・ブランド化を実現する企業が存在することが分かった。 さらに、これら両国のファッション分野で活躍する日本人の存在も注目される。彼らは、日本人独自の感性を大切にしながら、その国で一定の評価を受けるまでになっている。日本人独自の感性が日本の繊維・アパレル産業においてどのような意義を持ちうるのかという問題の重要性を改めて認識した。 日本の強みを意識しながら国内・海外調査を2007年度はおこなうことの重要性が理解されたことは、大きな成果であり、4月以降、国内産地を何度か既に訪問している。
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Research Products
(1 results)