2006 Fiscal Year Annual Research Report
動学的統計モデルによるマーケティング意思決定高度化のための研究
Project/Area Number |
18730273
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 忠彦 筑波大学, 大学院ビジネス科学研究科, 講師 (40400626)
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Keywords | 動学的モデル / POSデータ / 状態空間モデル / カルマンフィルタ |
Research Abstract |
平成18年度は,動学的統計モデルによる集計POSデータを用いた計量分析として行った. 1つ目の研究では,新製品投入による競合商品数の変化を許容する動的モデルを開発した.このモデルは,データ期間中のある時点で観測次元が変化することを許容することによって,時系列解析分野で数多くの研究がなされている動的線形モデルを拡張したものである.我々は,「パラメータの時間変化」と「観測次元の変化」という2つの動的変化に焦点を当てモデル化した.提案の枠組みによる実際のPOSデータの解析により,我々は次に示す3つの現象が生じていることを確認した.(1)ブランド間の交差価格弾力性の差の減少によって示される,既存ブランドの商品間差異の縮小.(2)トレンドの減少によって示される,商品力の低下.(3)価格弾力性の絶対値の減少で示される,値引き効果の低下. 2つ目は消費者の動的値引き反応を捉えうるモデルの開発を行った.本研究では店舗レベル基準価格を考慮した時変係数売上反応モデルを提案した.これまでマーケティングでなされてきた売上反応モデルでは,基本的に価格の反応パラメータはデータ期間を通して一定であると仮定されているものがほとんどであった.そのため,時間とともに売上がどのように増減するかの評価は適切に行われてきていない.本提案の枠組みでは,消費者の反応の時間変化を許容するため,それらの問題を適切に処理することが可能となった.さらに,それらモデルを用いた数値実験の結果に基づき価格戦略を評価する枠組みも同時に提案した,実証分析の結果,店舖レベル基準価格を考慮した時変係数売上反応モデルの有用性が明らかになった. 1つ目の課題に対しては,国際会議論文として一本,学術雑誌論文として一本掲載されている.また,2つ目の課題に関しては,学術雑誌に投稿した論文一本の採録が決定している.さらに,上記2つの項目とは別に,国際会議論文に一本,研究集会予稿論文が一本掲載されている.
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Research Products
(5 results)