2007 Fiscal Year Annual Research Report
商店街の構成メンバー間の協力関係:その基礎と形成プロセス
Project/Area Number |
18730276
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Research Institution | Keiai University |
Principal Investigator |
畢 滔滔 Keiai University, 経済学部, 准教授 (70331585)
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Keywords | 商店街 / 中心市街地活性化 / 合意構築 / 組織構造 / 社会関係資本 / 知的資本 |
Research Abstract |
本研究は、複数の商店街に関する事例研究を通じて、商店街の構成メンバー間の協力関係の形成プロセスおよびその影響要因を分析した。本研究は平成18年度と平成19年度の2年間にわたって行われた。平成18年度は共同事業を継続的に行っている代表的な商店街、平成19年度は継続的に行っている商店街と実行できなかった商店街双方の事例研究を行った。この事例研究においては、(1)組合総会議事録、商店街に関する文書資料の検討、(2)商業統計の分析および、(3)組合役員、市役所、商工会議所など関連機関の担当者に対するインタビュー調査が実施された。 調査結果は次の通りである。商店街の構成メンバー間の協力関係が形成するには、討論の手続きの確立、社会関係資本と知的資本の蓄積が必要である。商店街組織におけるリーダーシップのタイプと事務局の整備状況といった組織構造は、組織の日常的な運営と合意構築の方法を左右するため、上述した能力の蓄積に大きな影響を及ぼす。カリスマ的なリーダーは短期的には事業を迅速に実行させることができるが、長期的にはむしろ組織の協力と協調を築く能力を低下させる。また、専従事務員は協力関係の構築で重要な役割を果たす。 本研究の結果は商店街組織に関する既存研究の知見を広げることができると考えられる。既存研究は、構成メンバー間の協力関係が形成しにくい原因を明らかにした点で大きな貢献がある一方、形成メカニズムそのものについては必ずしも深く分析しなかった、といった限界がある。これに対して本研究は、協力関係の形成メカニズムについて説明枠組みを提示し、またその一般性を検討した。このような理論的な貢献に加えて、本研究は日本の中心市街地活性化事業の発展に対して、商店街の構成メンバーだけではなく、活性化事業に関わるさまざまな個人または組織間の協力関係の構築にも実践的な示唆を与えると考えられる。
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