2008 Fiscal Year Annual Research Report
規制緩和時代の保険業の統合と収れん-歴史的経緯と国際比較をふまえた実証的研究-
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18730278
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
柳瀬 典由 Tokyo Kasei Gakuin University, 経営学部, 准教授 (50366168)
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Keywords | 保険業 / 規制緩和 / コーポレートガバナンス / 確率的フロンティア関数 / 効率性 / 会社形態 / 産業組織論 / リスクテイク |
Research Abstract |
本年度は、以下の2点を中心に研究を進めた。第一に、規制緩和の進展などにより業界再編が近年著しいわが国の生命保険業を対象に効率性の計測を行い、その時系列的な変遷や経営形態別の比較について分析を行った。具体的な効率性の計測に際しては、確率的フロンティアDistance Functionの推定によるアプローチを採用した。本論の分析結果から、効率性の全体平均は2001年度をピークに低下した後は概ね安定的に推移していることが確かめられた。会社形態別の比較では、最近時の業界再編後の期間において、相互会社の方が株式会社よりも相対的に効率性が低いことが示され、経営形態別の比較では、損保系生保が相対的に最も効率性が高く、反対に外資系生保が最も低いことが示された。さらに、グループ経営の違いに関する比較では、社長会所属やメインバンク関係などの銀行系列生保のほうが非系列生保よりも効率性が低く、生保主体的なグループ系列生保のほうが非系列生保よりも効率性が高いことが確かめられた。 第二に、会社形態等の相違が保険会社のリスクテイク行動にどのような影響を与えるのかという点につき実証的に検討した。これまでも効率性や生産性に関する研究は進めてきたが、そうしたパフォーマンス指標の改善の前提には具体的な経営行動が存在するはずである。そうであるならば会社形態などガバナンス構造の相違が保険会社の行動(リスクテイクのあり方)にどのような影響を及ぼすのかという点にっき、理論的かつ実証的に考察を加える必要がある。そこで、保険業特有の会社形態である相互会社を取り上げ、相互会社と株式会社のどちらがより積極的なリスクテイク行動を取るのかという点につき、相互会社形態が業界の主流を構成するという世界的にも珍しいわが国生保業を対象とし、様々なリスク指標を定義し検討した。
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Research Products
(2 results)