2006 Fiscal Year Annual Research Report
立地特性と事業特性からみた集客サービス施設のサービス事業戦略の類型化
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18730284
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
竹田 育広 近畿大学, 経営学部, 講師 (60329068)
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Keywords | 経験価値の創造 / サービスセッティング / 演出装置の3E機能 / 感情の商品化 / 専門的知識の商品化 / 雰囲気の商品化 / サービスセッティング / 構築環境のマネジメント |
Research Abstract |
1.サービスという商品には「経験価値の創造」という戦略的視点が不可欠である。サービスとは、「活動・行為プロセス」と定義され、商品の機能提供とも言える。その機能は多種多様であり、単独で市場化している機能もあれば、製品の付随機能に留まるものもある。そのような中で、本研究が対象とする観光施設(ホテル・旅館、空港など)、レジャー施設(テーマパーク・遊園地など)といった人間の心理的部分に働きかけるサービスを提供する組織が競争優位を形成するために重視すべき機能は次の3点である。第1は、ホスピタリティ機能、つまり感情(Emotion)の商品化である。第2は、プロフェッショナル機能、つまり専門的知識(Expertise)の商品化である。第3は、空間演出機能、つまり構築環境((Built)Environment)の商品化である。換言すれば雰囲気の商品化とも言える。これらを「演出装置の3E機能」と本研究では定義し、これをもってサービスの事業特性とする。 2.本研究では、3E機能のうち空間演出機能の分析に焦点をおいて考察を進めてきた。つまり、構築環境と顧客価値の関係に着目し、環境心理学や景観工学、そして日本的なもてなしの精神・空間の原型と考えられる茶道、茶室設計といった分野を援用しながら、現存する集客サービス施設のなかでもとりわけ話題になっている施設の空間演出技法での特徴について分析を進めた。その結果、利用者のメンタルに働きかける機能としての構築環境には、日本文化、社会構造、公共性などの側面から演出機能を構築することが必要であることがわかってきた。その点で茶道、茶室設計のアイデアは非常に有効であった。これらの知見を整理していった結果、「構築環境のマネジメント」という新しいフレームワークの創造へとつながったことは、空間演出とマーケティング戦略というこれまであまり真剣に論じられて来なかった分野に貢献できるものと考える。その成果は現在執筆中であり、来年度早々にも論文として発表する予定である。
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