2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730292
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山口 直也 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (50303110)
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Keywords | 会計学 / 管理会計 / マネジメント・コントロール / 行政経営 / PFI / バランスト・スコアカード |
Research Abstract |
本年度は,実施計画に掲げた以下の3つのテーマ((1)マネジメント・コントロールに関する理論研究の分析,(2)管理会計に対する意識と導入状況についてのアンケート調査,(3)先進自治体に対する聞き取り調査)のうち,(1)と(3)に取り組んだ。このうち(3)については,まず新潟県長岡市役所を訪問し,同市のPFI事業への取り組みについて聞き取り調査を行い,事業及び事業者選定に関する意思決定と,事業開始後の事業運営の現状について調査した。このうち,意思決定に関する問題については既に論文「日本版PFI(Private Finance Initiative)の課題-長岡市「高齢者センターしなの」PFI事業の検証をもとに-」の執筆を終えており,他研究者との共著本として出版を予定している。また,本論文の内容については,平成18年11月10日に開催された平成18年度国土交通省PFIセミナーにおいて発表している。 さらに,福岡市役所を訪問し,同市の行政改革(DNA運動とバランスト・スコアカード(BSC))とPFI事業への取り組みについて聞き取り調査を行った。同市のDNA運動は自治体の組織活性化の取り組みとして注目されているが,現状ではマンネリ化しており,新たな取り組みが求められている。また,同市は当初,局戦略の明確化とその浸透,さらには戦略の進捗状況を測定,評価するための業績管理ツールとしてBSCの導入に積極的であったが,現状ではBSC導入には至っておらず,局戦略の具体化についても局ごとの取り組みにばらつきがあることがわかった。さらに,同市のPFI事業は国内初の破綻事例として注目されているが,その破綻要因として,事業者選定に関する意思決定にいくつか問題があることがわかった。これら聞き取り調査の結果については,現在,論文に纏めている。 次年度はさらに先進自治体への聞き取り調査を進めるとともに,(1)の理論研究の成果と併せて,わが国自治体におけるマネジメント・コントロールについての枠組みを提示し,これを支援する管理会計情報について分析を進める。
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