2008 Fiscal Year Annual Research Report
国際的資本市場における国際財務報告基準の受容に関する研究
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18730298
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
潮崎 智美 Hiroshima City University, 国際学部, 准教授 (70336072)
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Keywords | 国際財務報告基準 (IFRS) / 国際会計基準審議会 (IASB) |
Research Abstract |
最終年度である平成20年度の研究の目的は、欧米の国際財務報告基準 (IFRS) 導入への対応を踏まえて、日本におけるIFRS受容問題の対応策についてのインプリケーションを導出することであった。その成果は、以下の点に要約できる。 1. IFRSを導入している国は世界に100カ国以上あるといわれるが、IFRSの導入方法は、IFRSとの文言の同一性、IFRS承認の方法、基準の網羅性、対象企業、対象財務諸表、強制力付与の有無、タイムラグなどの点において各国間で相違がある。 2. 国際会計基準審議会 (IASB) の作成したグローバルIFRSが各国に導入される際には、若干改編されローカルIFRSとされているケースがある。例えば、欧州連合 (EU) はIASBの基準の一部を承認しておらず、LASB-IFRSとEU-IFRSのルールは同一ではない。しかしながら、ニューヨーク証券取引所 (NYSE) 上場ドイツ企業を分析したところ、IASB-IFRSとEU-IFRSの両方に同時に準拠する二重準拠の企業が大多数を占めており、実務上の相違は実際にはそれほど大きくない。 3. ドイツでは、IFRS準拠個別財務諸表の公告が認められるようになったが、NYSE上場ドイツ企業のすべてが連単分離の開示を選択し、IFRS準拠の連結財務諸表とドイツ商法 (HGB) 準拠個別諸表を公告している。 4. 各国におけるIFRS導入方法は多様であり、日本にも多様な可能性が開かれている。IFRS導入に際しては、実務へのインパクトを考慮に入れた制度設計がいっそう必要とされている。 平成20年に日本によるIFRS導入の具体的検討がはじまり、会計基準の国際的コンバージェンス研究の重要性はますます高まっている。本研究の成果報告は時機を得たものとなり、意義があったものと思われる。
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Research Products
(4 results)