2008 Fiscal Year Annual Research Report
組織学習を促進する管理会計システムに関する理論的研究
Project/Area Number |
18730304
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
伊藤 克容 Seikei University, 経済学部, 教授 (40296215)
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Keywords | 組織学習 / 管理会計 / マネジメント・コントロール・システム / 組織文化 / 予算管理システム / エンパワメント / 自律的組織 / マネジメント・コントロール |
Research Abstract |
本研究では、企業の管理会計システムのうち、とくに組織学習(organizational leaming)を促進する機能に着目し、管理会計システムを構成要素とするマネジメント・コントロール全体の備えるべき要件について、理論的・実証的に明らかにしようとした。組織学習は、企業の競争優位の源泉として昨今注目されている経営現象である。 総論部分として、組織学習に寄与するためには、Anthony(1965)で普及した財務的なコントロール手段を中心としたマネジメント・コントロールの概念は拡張を余儀なくされ、組織文化、経営理念などの多様なコントロール手段をパッケージとして考察するアプローチが支配的になっていることを学説研究の結果、あきらかにした。 より具体的な問題点としては、(1)日本企業に特徴的に見られる、集団での組織学習を強調した組織の理念モデルである「自律的組織」と管理会計システムの関係、(2)組織文化マネジメントに対する管理会計の貢献可能性という2つのサブカテゴリーを設定し、これ照について、学会発表と論文での成果報告を実施した。組織学習は、組織成員の自発的な行動による部分が大きく、組織学習を円滑に促進するためには、組織モデルとしては、集権的組織よりも自律的組織が採用されていることがのぞましいことが、具体的な事例、学説などを検討した結果から、明確にした。 2008年度に公刊された研究成果以外にも、文献調査を継続し、国内外での刊行論文、著作物、研究報告などに関する情報収集を実施した。また、実務家を中心に当該問題に関するヒアリング調査を継続している。さらには、国内外での学会・研究会で暫定的に構築した成果物(理論仮説)の発表を実施した。学会発表の実施により、コメントおよびフィードバック情報を収集することができ、改善点が明確になった。
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