2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730309
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
田澤 宗裕 追手門学院大学, 経営学部, 講師 (80411487)
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Keywords | 株価説明力 / 発生項目の役割 / 将来予測能力 / 異常発生項目 / 将来キャッシュ・フロー予測 / 運転資本 |
Research Abstract |
本研究は、利益の株価説明力が時の経過とともに高まったかという問題について、利益とキャッシュ・フローの差額として定義される発生項目(Accounting Accruals)の役割という視点から実証的に解明することを目的としている。発生項目の役割によって利益の将来予測能力が高まっているならば、そのような利益の株価説明力は向上していると予想される。交付初年度に当たる本年度は、利益の将来予測能力を支える発生項目の役割に関し、発生項目のノイズと利益の将来予測能力の関係、および、それらの時系列推移を実証的に分析した。 まず、本研究では、金融保険業を除く上場企業の単体決算から52,534企業一年をサンプルとして抽出した。次に、4つの異常発生項目推定モデル(修正ジョーンズ・モデル、修正ジョーンズΔCF・モデル、修正ジョーンズforward-l00king・モデル、会計プロセス・モデル)を使用して発生項目のノイズを計測した。利益の予測能力については、Barth, Cram and Nelson(2001)の将来キャッシュ・フロー予測モデルを使用して計測した。これまでのところ、次の2つの主要な分析結果を得ている。第1に、異常発生項目として計測された発生項目のノイズが利益のキャッシュ・フロー予測能力を低めていることが確認された。現在、この成果を論文にまとめている。第2に、利益の将来キャッシュ・フロー予測能力が時の経過とともに高まっていることを発見した。同時に、時の経過に伴う異常発生項目の変化や運転資本の圧縮も観測され、発生項目の内容が変化していることが明らかになった。しかし、これらの事象がどのようなメカニズムで相互に影響を及ぼしあっているかを厳密な形で特定するには至っていない。この点については、そのメカニズムを説明し得るモデルの展開を含め、次年度の課題としたい。
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