2006 Fiscal Year Annual Research Report
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18730310
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
河合 隆治 桃山学院大学, 経営学部, 助教授 (30368386)
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Keywords | 管理会計 / 非財務情報 / 業績測定システム / 顧客満足度 / バランスト・スコアカード / カスタマー・エクイティー / 財務情報 / 情報の関連性 |
Research Abstract |
本研究では、顧客満足度に代表される顧客に関する情報の収集・利用方法ならびに顧客に関する情報と財務情報との関連性について検討している。この課題を検討するにあたり、本年度は以下の二つの方法からアプローチした。 第一に、1980年代以降のわが国管理会計領域の文献を網羅的に渉猟することにより、これまでの業績測定および業績評価の議論がどのように展開されてきたかについて検討した。その結果、バランスト・スコアカードを議論する過程で非財務情報の一つの構成要素として顧客に関する業績指標は議論されていることがわかった。つまり、抽象的なレベルにおける財務情報と顧客に関する情報との関連性は検討されているものの、具体的に顧客に関する情報をバランスト・スコアカードに組み入れるために、どのように顧客情報を収集し、収集された情報を指標化するのかについての具体的な方法については明らかにされていないという課題が抽出された。 第二に、マーケティング領域において顧客満足度に関して議論している文献渉猟や情報収集を行い、その内容を上述の管理会計領域における顧客満足度情報の議論と対比した。管理会計領域では、企業全体の財務業績と関連する情報として全般的な顧客満足度が取り上げられ、その関係性について議論している。他方マーケティング領域においては、顧客との関係性(カスタマー・リレーションシップ)の観点から、顧客自体からの情報収集方法やその顧客から得られる将来的な経済価値を測定する方法に関する研究の蓄積を通じて、顧客満足度と財務的成果との関連性が検討されている。このように別々の視点から展開されてきているマーケティング領域の知見と管理会計の知見を結びつける糸口として、カスタマー・エクイティー概念が有用であることがレビューを通じて明らかとなった。この成果については論文の形で公表しており、次年度の学会で報告する予定である。
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