2006 Fiscal Year Annual Research Report
非監査サービスが監査人の独立性に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
18730311
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
異島 須賀子 久留米大学, 商学部, 助教授 (20336069)
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Keywords | 監査人の独立性 / 非監査サービス |
Research Abstract |
監査人の独立性は、市場経済において、会計監査が有効に機能するために必要不可欠な諸条件のうち、最も重要なものである。監査人の独立性については、被監査会社が監査人を任命し、さらには監査報酬を支払っているという矛盾した関係についての研究と、監査人が自らの被監査会社に提供する非監査サービスについての研究に大別される。 本研究では、監査人が、同一の被監査会社と、監査サービス契約と非監査サービス契約とを同時に締結している場合に当該非監査サービスの提供が監査人の独立性に与える影響についての経済学的なモデル(監査人と被監査会社との間のコモン・エージェンシー・モデル)を用いて分析することを目的としている。 本年度は、本研究の初年度であるため、主に基礎研究に注力した。具体的には、監査人による非監査サービスの提供に関する周辺概念を明確にしたうえで、先行諸研究の詳細な整理・検討を行なった。 本年度の研究の結果、まず、監査人が実際に採用している監査サービスにおいては、リスク・アプローチに基づく監査が行われていることを確認し、当該アプローチに基づく監査の問題点を明らかにした。さらに、監査人と被監査会社とのコモン・エージェンシー・モデルを用いた先行諸研究から、監査人が被監査会社に対して、監査サービスと非監査サービスを同時提供したとしても、監査人の独立性が損なわれるのは稀であることが論証可能であることを確認している。 これらの研究成果は、本研究の次年度以降の基盤となるものである。
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