2007 Fiscal Year Annual Research Report
建設産業における若年不安定就業層の実態に関する社会学的研究
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18730314
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山口 恵子 Hirosaki University, 人文学部, 准教授 (40344585)
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Keywords | 建設業 / 社会学 / 若者 / 日雇 / ホームレス / 不安定就労 |
Research Abstract |
本研究では、建設業などに従事する不安定就労層のなかでも、とくに若年層の就労実態を明らかにすることを目的としている。本年度は2年目にあたり、昨年の建設業に特化した調査・研究から、やや対象範囲を拡大し、若年層の多様な職業移動と生活経験に焦点をあて、資料収集や聞き取り調査を中心に行った。 第一に、若年労働層や不安定就労、格差論に関する書籍や論文・資料の収集と、その読み込みを行った。また、イギリスの若年不安定就労と貧困に関する研究動向について、情報・資料収集に努めた。第二に、野宿者や若者を支援する組合・NPO関係者への聞き取り調査を行うことで、特定の若年層の貧困化が進行していることなど、情報・データの収集を行った。第三に、インターネットカフェやマンガ喫茶のサービスや利用の状況について、関東の10数軒の店舗において観察を行った。また、利用状況に関するインフォーマルな聞き取り調査を行い、25人から協力を得た。現在建設業で働いているという若者は対象者には存在せず、むしろ非正規雇用で働く若者には、引越しや仕分けなどの軽作業に就く者が多かった。また、これらの都市的な場所が、多様な人々に多様に利用されていることが分かった。第四に、過去に行った東京の25人の野宿者に対する聞き取り調査のデータについて、中高年層と若年層に分けて就業と生活の変化についての再分析を行った。これらの分析結果を元に、論文を執筆した(2008年6月発行予定)。第五に、青森県出身で関東に在住している数名の若者に対して、1時間程度の予備的な聞き取り調査を行った。建設業に就職した若者は、長時間労働で低賃金の非常に厳しい労働条件にあった。青森県のネットワークを重視し、将来的には建設業で身につけた技能を生かしてUターンすることを希望しているなど、若者と地域移動、職業生活についての知見を得た。
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