2006 Fiscal Year Annual Research Report
草の根NPO/NGOの交流と協働による日中関係の修復と発展の可能性に関する研究
Project/Area Number |
18730334
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
李 妍えん 駒澤大学, 文学部, 助教授 (90348889)
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Keywords | 草の根 / NGO / NPO / 日中 / 中国人 / 国際交流 / 異文化理解 |
Research Abstract |
今年度はこの研究の初年度であり、理論的にも実証的にも基礎となる作業を行った。 まず、理論研究として中国の草の根NPOに関する概観及びその活動や発展を規定する諸要素の分析を行った。昨年度から継続的に企画してきた編著『中国における草の根組織の台頭:市民社会の形成に向けて』の原稿を執筆し、また他の執筆者による中国語の原稿の編訳作業も行った。2007年10月に出版される予定である。 今までに日本と中国で出版された「中国人研究」に関するサーベイも併せて行った。数百件に及ぶデータを整理し、そこから見られた傾向や、内容を読み解くキーワードを抽出した。その中間報告を、論文「中国人論の現在:日本における中国人論と中国における中国人論の整理と検討」にまとめ、『駒澤社会学研究』で公表している。理論研究に関しては、科学研究費は、必要な文献/資料の購入に用いられた。 実証研究としては、中国と日本それぞれにおいて、草の根組織を500団体ずつ選び、互いに対する意識や考え方、交流の意向などについて質問紙調査を行った。サンプルを選ぶにあたり、日本ではすでに整備されたデータベースがあるのに対して、中国のサンプル選びは困難を極めた。整備されたデータベースがない上、対象が「草の根組織」であるかどうか見分けなければならなかったからである。そのリストづくりの下準備としで、5月に上海を訪れ、研究協力者とともに対象の選定作業を行った。8月に中国で調査を実施した。日本における調査は、2007年の2月に対象リストを作成し、3月に実施している。さらに1月には、中国の草の根組織に関する情報全般の整理を行ったと同時に、来年度の研究に向けて、予定している草の根NGOの相互訪問を実現させる可能性のある日本のNGO、ETICのスタッフとともに北京の協力者を訪れ、会合を行った。科研費は実証研究に必要な旅費、調査補助に対する謝金に支出している。 実証研究を行う傍らで、中国のNGOに関する全般的な考察を、『NPOジャーナル』で公表し、また、昨年度の研究の延長上で、コミュニティレベルの交流を可能にするための考察として、「都市:基層管理体制の変動とコミコニティ形成」を執筆し、飯田哲也・坪井健による編著に収められる予定である。
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