2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会システム理論の精緻化とその応用可能性に関する研究
Project/Area Number |
18730336
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
赤堀 三郎 Tokyo Woman's Christian University, 文理学部, 准教授 (30408455)
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Keywords | 社会システム理論 / ニクラス・ルーマン / 自己言及 / 再帰性 / パラドックス / サイバネティクス / 一般システム理論 |
Research Abstract |
研究代表者は、現代社会に対する社会学の理論的アプローチを構想するにあたり、ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンの学説に注目しつつ、一般システム理論と社会学理論との関係についての討究を進めてきている。本研究の3年度目となる平成20年度は、国内外の研究文献ないし資料の収集・整理、各種学会大会・研究会への参加(学会大会では部会の討論者や司会者も務めた)、また、関連文献の翻訳やBOOK REVIEWの執筆(これらは平成21年度に刊行される)などの活動の他に、研究成果の公表も行った。成果発表としては次のものがある。すなわち、(1)日本社会学史学会第48回大会における口頭発表「社会システム理論における観察とパラドックスの問題」(単独報告 ; 平成20年6月28日)、および(2)論文「戦後アメリカにおけるサイバネティクスと社会学」(『東京女子大学社会学会紀要』37号 ; 平成21年3月)である。これらと「社会システム理論の精緻化とその応用可能性に関する研究」という研究課題との関連は次の通りである。(1)は、ルーマンが「社会の中でしか社会を観察できない」ということから生じるパラドックスの問題を解くためにH. フォン=フェルスターやG. ギュンターといった研究者たちの所説を参照したのだということ、また、方法論においては前述の観察とパラドックスの問題に答えを出したが認識論においては答えを出せず方向性を示すのみにとどまったといったことを論じたものである。(2)は前年度に日本社会学会大会で報告したものを論文にしたものである。ここではシステム理論の研究者集団から社会学者たちが排除された過程を集団内の相互作用の観点から跡づけ、システム理論と社会学との結びつきは十分可能であることを示唆した。(1)と(2)のいずれにおいても、現在あるような社会システム理論の「精緻化」と「応用可能性」の方向が示されている。上記以外の研究成果の公表は、次年度以降にずれ込む見通しである。
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Research Products
(2 results)