2006 Fiscal Year Annual Research Report
消費者信用と多重債務にかかわる制度の設計と運用に関する社会学的研究
Project/Area Number |
18730342
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
大山 小夜 金城学院大学, 人間科学部, 助教授 (10330333)
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Keywords | 消費者信用 / 多重債務 / 社会学 / 市場 / 紛争処理 / 行政 / 韓国 / 英国 |
Research Abstract |
本研究の課題は、消費者信用と多重債務に関わる紛争の発生メカニズムを解明し、紛争の防止と、公正で迅速な紛争処理のための制度の設計と運用について、社会学的処方箋を示すことである。これに対して、本年度の研究成果は以下のとおりである。 1.設計面 第1に、消費者信用市場への外部介入のあり方(事前規制型か事後処理型)について戦後日本における司法による事後で個別的な紛争処理の実態を分析し、その利点と問題点を整理した(雑誌論文その1)。第2に、1997年通貨危機後の韓国での消費者信用市場の拡大と多重債務問題の発生ならびにそれへの政府等による対応について、05年度に行った現地調査の補足・追調査をし、成果をまとめた(雑誌論文その2)。第3に、消費者信用市場への規制が緩い英国において司法・行政・市民は市場にどう対応しているか現地調査を行った。英国で多重債務問題は金融排除問題(低利で利用しやすい一般の金融市場からの排除に起因する問題)とみなされている。このため、解決策として、金融の被排除者に市場参入の力(教育)と機会を提供することが重視されている。こうした英国の認識と取組を検討した(雑誌論文その3)。また、英国で多重債務問題は貧困問題や地域問題とも捉えられており、各地で公民連携によるさまざまな施策が行われている。これらの取組やそこにいたるまでの経緯をまとめた(図書)。第5に、全国の都道府県と主な市を対象に自治体による多重債務対策について質問紙調査を行った民間団体の調査結果を集計し、多重債務と貧困の実態、自治体の対応を分析した(雑誌論文その5・6)。なお結果の概要は内閣官房多重債務者対策本部有識者会議に提出された。 2.運用面 全国の消費者行政担当者や相談窓口担当が購読する専門誌に、多重債務者が問題を抱え解決にいたるまでの心理過程を紹介し、効果的な介入の方法を提案した(雑誌論文その4)。
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Research Products
(7 results)