2007 Fiscal Year Annual Research Report
消費者信用と多重債務にかかわる制度の設計と運用に関する社会学的研究
Project/Area Number |
18730342
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
大山 小夜 Kinjo Gakuin University, 人間科学部, 准教授 (10330333)
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Keywords | 消費者信用 / 多重債務 / 社会学 / 金融市場 / 紛争処理 / 社会保障 / 消費者行政 / サブプライムローン |
Research Abstract |
本年度は、国内においては各地の自治体や民間組織の多重債務対策について、海外(台湾・ベルギー・スウェーデン・ドイツ)においては多重債務と社会保障について現地調査を行った。結果は以下のとおりである。 (1)全国自治体の多重債務対策に関する質問紙調査を、多重債務問題にとりくむ民間団体が実施した。この結果を使って、都道府県、市町村の多重債務の実態とそれへの対策の現状を分析した。 (2)政府による多重債務問題改善プログラムの策定後、本年度は各自治体で多重債務対策が開始される。法律家や自助グループ等と連携し成果をあげるいわゆる「モデル・ケース」が発見されたり誕生・普及したりする一方で、未だ開始に至っていない自治体もあり、進捗状況にかなりのばらつきがある。 (3)多重債務だけでなく、自殺やギャンブル依存をも含めた総合的な対策に乗り出す民間組織や自治体がでてきた。 (4)この約10年間、消費者相談件数は3倍に増える一方で、地方自治体での「消費者予算の半減」「相談業務の民間委託」等が進んでおり、多くの相談現場が金属疲労を起こしている。 (5)行政による、多重債務問題をも含めた消費者紛争への介入効果をあげるために、消費者問題を強い権限で包括的に扱う中央組織の設置と、予算増や増員などによる地方自治体の相談業務体制強化を求める研究・検討会が発足した。 (6)欧州の民間多重債務者支援組織等による国際会議に参加し、日本の多重債務問題と欧米のサブプライムローンについて意見交換を行い、研究のためのネットワークづくりを始めた。 (7)生活困窮者の現状と社会保障制度について海外の事例を収集し分析を始めた。 (8)日本の金融市場のアジア進出にともなってアジア各地で多重債務問題が発生している。そこで本年度は台湾の現状について現地調査を行い、報告書を作成した。
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Research Products
(5 results)