2008 Fiscal Year Annual Research Report
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18730343
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
石井 香世子 Nagoya University of Commerce & Business, 経済学部, 准教授 (50367679)
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Keywords | 在日タイ女性 / 在日外国人 / 在日外国人女性 / 移民 / 越境移住者 / 移民ネットワーク / 越境移住者ネットワーク / トランス・ボーダー移住 |
Research Abstract |
本研究では、タイ出身の日本で暮らす女性たちが、「在日タイ女性」というアイデンティティを持たず、彼らのなかに細分化された階層意識を持つため、在日タイ女性としての相互扶助ネットワークが発達しない様子を調査・分析した。名古屋を中心とした東海地方に住む90人以上の人々を対象と調査した結果、彼らのネットワークが分断する主な原因として、彼女たちをとりまく日本社会のエスニック・パワー・バランスが挙げられることがわかった。具体的には、(1)日本社会における「タイ女性」というイメージへの偏見から逃れたいと思うために、自分は他のタイ女性とは違う」ことを示そうとネットワークが細分化する傾向があること、(2)また彼らのほとんどが配偶者ビザでの滞在であり、個人的能力を生かす社会的責任ある職業に就いていないこと、また日本人家族から「貧しい国からきた従順な嫁」であることを求められるため、自分自身に対する自信が持てず、本国での出身階層や日本人夫の経済的地位など、何か自分のアイデンティティを補強するものを求めるために、これも、「同じ階層」と思う在日タイ人同士しかネットワークを構築しなくなる-その結果ネットワークの細分化が起きる-という現象が確認された。また、在日フィリピン女性に比べて、日本人夫との接触経路・本国の出身階層が多様であること、フィリピン人のようにキリスト教会という結節点がないことも、タイ女性のネットワーク分化を生む要因として認められた。
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