2006 Fiscal Year Annual Research Report
心理主義化の社会学的研究:感情知による社会統制の把握に向けて
Project/Area Number |
18730344
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
崎山 治男 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (20361553)
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Keywords | 感情社会学 / 心理主義 / 感情労働 / 社会調査法 |
Research Abstract |
本年度は、当初の研究計画を元に、主として日本社会において、さまざまな社会問題を個人の「心」の問題に還元する心理主義の進展に関する資料収集と分析を、1)我が国における明治・大正期における心理学の受容の過程、並びに2)現代の社会問題分析における心理学の浸透という側面から行った。それの成果の1つが拙稿『社会病理診断と実践的介入』であり、現代日本の社会学分野における社会病理・社会問題分析への心理学的な視点の不用意な混入と、心理主義の浸透による社会学的な視座の後退を示したものである。また、心理主義の浸透に関するアメリカ等諸外国との比較的な視座を得るために、当該分野の第一人者であるA・R・ホクシールド教授の研究に関する学会・シンポジウムに参加し、情報交換を行った。 また、感情をいかに・社会調査の方法論の対象にすることが可能であるのか、具体的には「社会学」の分析的な語彙に感情が回収され、生きられた感情経験そのものが見失われる可能性に対抗する試みとして、対話的構成主義を導入する方法論や、ケア職等を中心とした感情労働における心理主義の浸透に関わるメカニズムについても考察を試みた。さらに、スクール・カウンセラー等の臨床心理に携わる人々に対する質的調査の準備もおこなった。 これらの研究の成果の幾つかは、既にシンポジウム講演という形で発表されていたり、印刷に回っているものもある。次年度は、上述した研究を継続しつつ、幾つかの編著書を出版する予定である。
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