Research Abstract |
本研究は,学校コミュニティにおける対人援助職のメンタルヘルス支援のあり方について,特に教職員と学校外機関との連携に焦点をあてて実態を調査し,学校コミュニティにおけるメンタルヘルス支援に用いられる連携の技術・方法を明らかにすると共に,学校コミュニティにおいて児童生徒へ適切なメンタルヘルス支援を行うに際して,必要なソーシャルワーク業務について明らかにすることを目的とした。 先行研究を踏まえ,平成19年度は,学校コミュニティにおける対人援助職の活動について事例の集積を重ねた。また,大学教職員を対象に大学コミュニティにおけるメンタルヘルス支援においてどのような学生支援を提供しているのかについて明らかにした。教職員がメンタルヘルス支援を提供する際には,出欠状況や授業参加時の様子,個人的な相談などから問題の所在が把握されるが,大抵は個人的に話を聞きながらしばらく様子を見る,学友に様子を聞く,といった対応が多くとられていた。ソーシャルワーク的機能が果たされるのは,修学上の停滞(長期欠席,留年,休学,退学)が懸念される場合や,何らかの精神疾患の存在が疑われる場合,自傷他害の恐れがあると考えられた場合,二者関係での支援に限界や躊躇を覚えた場合,などであった。連携の手法としては,家族との相談,他の教職員とのインフォーマルな会話による情報共有,会議の場による情報共有と対応方針確認,学生相談室や外部の専門機関によるコンサルテーションを受けること,などが挙げられた。 事例分析及び横断調査により学校コミュニティにおいては教職員が一定のソーシャルワーク機能を果たしていることが示された。学校ソーシャルワークの効果的な実践においては,個々にケースを担当し支援に当たる一般の教職員と,ケース会議のコーディネートやコンサルテーション,コミュニティの開発を専門とする学校ソーシャルワーカーらが協働することが重要であろう。
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