2007 Fiscal Year Annual Research Report
特別養護老人ホームにおけるユニットケアを規定する要因に関する社会学的研究
Project/Area Number |
18730356
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
菅原 真枝 Tohoku Gakuin University, 教養学部, 准教授 (50359501)
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Keywords | 特別養護老人ホーム / ユニットケア / 職員配置 |
Research Abstract |
本研究の目的は、わが国の特別養護老人ホーム(以下「特養」と略記)においてスタンダードになりつつあるユニットケアを、それを規定する諸要因に注目しながら社会学的に分析することである。今年度は宮城県内における施設形態の異なるいくつかの特養(「杜の風」(黒川郡富谷町)、「おながわ」(牡鹿郡女川町)、「川崎ドリームの郷」(柴田郡川崎町)、「うぐいすの里」(栗原市鶯沢)など)を訪問し、職員配置、運営期間、職員のケア労働量、入居者の生活の質と生活満足度、施設周辺の地域性といった客観的データの収集をおこなった。ケアワーカーおよびユニットリーダーを対象とする聴取調査を実施し、介護の仕事に就労した経緯と動機、これまでに従事したケアの種類、ユニットケアを実践するにいたった経緯と動機、指導的な役割を果たした人物の存在の有無、入居者との人間関係を形成・維持するにあたっての具体的な工夫などについて質問紙調査を実施した。また、入居者の現在の生活のありかたは、それ以前の生活史と不可分の関係にあるため、入居者に対するライフヒストリーの聴取も合わせて実施した。特養における入居者の生活の質を高める手法として、近年、アクティビティサービスへの注目が高まっていることから、アクティビティサービスに関する資料収集をおこなった。理論的枠組みの構築としては、昨年より継続して福祉国家論を検討した。また、特養の安定的で持続的な経営のためには、若者や主婦によるパート労働を欠くことはできないが、そこから派生する雇用格差の問題を看過することはできないことから、非正規雇用やワーク・ライフ・バランスの問題も視野にいれ、文献を収集し検討の素材とした。これらの作業をつうじて、ユニットケアを取り巻く諸問題を明らかにするとともに、それらの問題状況を規定する諸要因を精査することが可能となり、ユニットケアの社会学的分析のための道具および諸条件を整えることができた。
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