2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730357
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大石 剛史 国際医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (70326958)
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Keywords | 地域福祉の主体形成 / エンパワメント / 質的研究 / ライフストーリー / 地域社会 / ボランティア |
Research Abstract |
まず先行研究を参考に、地域福祉の主体形成を「地域福祉に関わる権利と責任の認識を基礎とし、地域福祉の諸相に関わって、地域福祉サービスを利用できる力、地域福祉サービスを実践できる力、地域福祉を自治できる力、地域の様々な人たちと共に生きることのできる力を形成し、それらの力を用いて地域福祉を増進させると共に、自らも地域の中で豊かに生きることのできる力を形成すること」と定義した。 次にこの地域福祉の主体を形成していると思われる、地域で主体的に地域福祉活動・ボランティア活動を展開している活動者4人への半構成的インタビューを行った。4人のインタビューデータを質的に分析した結果、地域福祉の主体形成過程の特徴(仮説)として、次のようなことが示唆された。 第一に、ごく幼少の頃の体験や学びが将来の主体形成に大きな影響を与える可能性があることである。今回インタビューを試みた4人中、3人が、幼少の頃の体験が、現在の様々な活動の原点になっているとする語りを展開している。 第二に、主体形成を促進するための、適切な環境や、周囲の働きかけがきわめて重要という示唆である。特に、地域の中の必要性(ニーズ)に基づいて、その必要性(ニーズ)を実際に充足させる活動をその人が行い(仮にこのような体験を「本物の地域福祉体験」と呼ぶこととしたい)、それが適切な形で周囲のものから評価され、その評価を自らの活動への自信(確信)につなげたとき、地域福祉の主体形成は大きく促進されるということが、仮説的には示唆される。 第三に、これは特に女性に顕著であったが、自分の本来の(あるいは新しい)社会の中での役割を1求めようとする意欲が、地域福祉の主体形成を促進する、一つの大きな要因である可能性が示唆される。
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