2006 Fiscal Year Annual Research Report
災害時のソーシャルワークとソーシャルサポートネットワークの構築に関する研究
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18730358
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
中島 修 東京国際大学, 人間社会学部, 講師 (80305284)
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Keywords | 災害時のソーシャルワーク機能 / コミュニティ再生 / 被災者のストレングス / ケアマネジメント / ボランティアコーディネート / スーパービジョン / 福祉避難所 / 中越大地震 |
Research Abstract |
本研究は、中越大地震の被災地である新潟県を研究の中心地として位置づけ、新潟県社会福祉協議会、新潟県内の福祉系大学研究者を研究協力者、新潟県内の社会福祉施設、病院関係者に加わっていただき研究を進めた。具体的には、新潟県内のソーシャルワーカーにインタビュー調査を行い、災害時の状況と災害後のソーシャルワーカーの取り組みを明らかにし、災害時にソーシャルワークが必要であることを明確にすることを研究目的とした。災害時の支援は、災害直後の支援に着目しがちであるが、ソーシャルワークの支援は、被災者への継続的な生活支援をいかに行っていくかに着目すべきである。以下に述べる「災害時におけるソーシャルワーク機能」は、災害直後から1年後、2年後の復興期に至っても、その状況に応じた支援の必要性を認識した上で整理したものである。 (1)高齢者、障害者、子どもなど要援護者の安否確認とニーズ把握、(2)要援護者の居住環境の確保と要援護者のスクリーニングによる福祉避難所の活用、(3)災害時に対応した行政等に対する制度への提言、(4)要援護者に対するケアマネジメント、(5)被災地住民のストレングスを重視した被災地住民主体の自立支援、(6)災害時におけるボランティアコーディネート、(7)被災地で支援を行っている専門職へのスーパービジョン、(7)災害時におけるリスクマネジメント、(8)災害で変化する地域の再生、(9)コミュニティ再生を視野に入れた継続的な生活支援 この「災害時におけるソーシャルワーク機能」は、中越大地震の被災地である新潟県中越地域における福祉専門職等へのインタビュー調査及び事例検討によって明らかになったものである。本研究を行っていく中で明らかになったことは、災害が起こることによって多くの地域住民が多方面へ転居し、それまで形成されていた人間関係や地域のつながりが崩壊してしまう地域が生まれるということである。つまり、災害復興には「コミュニティ再生」の視点が不可欠であり、それを支援するソーシャルワークが必要であることが明らかとなった。
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