2008 Fiscal Year Annual Research Report
災害時のソーシャルワークとソーシャルサポートネットワークの構築に関する研究
Project/Area Number |
18730358
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
中島 修 Tokyo International University, 人間社会学部, 講師 (80305284)
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Keywords | 四川大地震 / 地域再生 / 災害時ソーシャルワーク / ソーシャルガバナンス / ソーシャルサポートネットワーク |
Research Abstract |
本研究は、平成18年度新潟県中越地震の被災地を中心とした研究として、被災地のソーシャルワーカーへのヒアリングを実施し、その成果として災害時ソーシャルワークの機能を抽出した。そして、被災地における地域再生の視点の重要性から、平成19年度は、わが国各地の被災地を巡り、地域再生の状況をヒアリングしていくことを行った。最終年度である20年度は、中国四川大地震が同年5月に起こり、約10万人もの人々が死亡するという被害が発生したため、本研究の成果を被災地に生かす意味から、中国四川大地震の被災地の訪問、国際会議での研究発表を行った。また、中国四川大地震における研究を深める意味から、台湾大地震との比較を考え、台湾への被災地視察と地域再生の状況を研究した。第一に、日本地域福祉学会において、本研究の成果を発表した。また、その発表を踏まえて、日本各地で研究発表を行った。第二に、これらの取組みにより、第2回日中四川大地震国際会議のメンバーに加えられたため、四川大地震の視察と研発表を四省にて中国社会科学院や四川省行政関係者等に対して行った。第三に、中国四川省での研究発表により、台湾大地震との比較研究の必要性を考え、日中四川大地震国際会議訪問メンバーの一部と共同で台湾への視察研究を行った。 以上の取組みにより、以下のことが明らかとなった。中国における国主導の復興支援と台湾における民間を活用した復興支援の違いである。特に、台湾における既存の民間住宅を活用した復興支援や宗教団体やNPOによる公共事業も含めた復興支援の取組みは、わが国の復興支援の方法を再考させるものであった。旧仮設住宅を活用したNPOによる高齢者共同住宅など、台湾における新しい福祉の枠組みを提示する取組みもあり、ソーシャルガバナンスとしてのソーシャルサポートの新たな視点を学ぶ機会となった。本研究により、災害時のソーシャルワークの必要性が明確となったことから、本研究終了後も、国際比較の視点も含めながら、地域におけるソーシャルサポートネットワークのあり方について研究していきたいと考えている。
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