2006 Fiscal Year Annual Research Report
非合法滞在外国人の医療・生活問題と福祉援助-労災・職業病問題の現状と課題を中心に
Project/Area Number |
18730362
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
伊藤 正子 法政大学, 現代福祉学部, 専任講師 (90364702)
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Keywords | 社会福祉関係 / 医療・福祉 |
Research Abstract |
1)外国人労働者の労災・職業病に関する文献整理 ・今年度は、医療関係からの労災・職業病に関する報告書関係を中心に検討したが、1990年代前半の状況を把握するにとどまり、その後の統計的把握は充分に進んでいない。労災相談を受ける現場からの意見としては、近年は非正規就労、超過滞在者への取り締まりが強化された結果、就業者数が減少したこともあいまって、労災等による問題は減少傾向にあるようだが、全国的な統計等の確認は今後の課題である。 ・海外の動向については、文献収集・整理ともに不十分に終わった言わざるを得ない。しかしながら、日本にも多くの労働者が入国しているタイの状況について視察およびレクチャーを受ける機会を得た。ここでは、タイにおける外国人労働者および海外より帰国したタイ人の生活問題とそれへの支援を調査することを目的とした。 視察期間は、2006年8月20日〜29日の9日間。視察先は、ドゥアン・プラティープ財団、バーンサバイ、パヤオ県サンパサック村等である。ここでは、外国人労働者を送り出す背景としての貧困問題とその課題、また人身売買被害者でエイズ感染者に対する心理的ケア及び社会復帰の支援の実際について聞き取り、観察することができた。バーンサバイは、こうした支援を提供する場として、非常に貴重な支援活動の一つとなっている。 2)外国人労働者の労災・職業病の実態把握 ・実態把握については、当初、東京労働安全衛生センターに蓄積された相談記録の統計的調査を行う計画であったが、記録の形式が必ずしも統一されていないなど、統計処理する上でのいくかの困難要因が判明した。そのため、次の段階として神奈川労災職業病センターに蓄積されている相談ケースを検討していくこととした。方法としては、全国労働安全センター('1997〜'2006)および、神奈川労災職業病センター('1997〜'2006)の会報誌のなかで取り上げられている外国人の相談事例の抽出する。その作業は現在も継続中である。今後は、これらのなかから特徴的なものに焦点をあて、個別検討を加えて行く予定である。
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