2007 Fiscal Year Annual Research Report
非合法滞在外国人の医療・生活問題と福祉援助-労災・職業病問題の現状と課題を中心に
Project/Area Number |
18730362
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
伊藤 正子 Hosei University, 現代福祉学部, 准教授 (90364702)
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Keywords | 外国人労働者 / 労働災害 / 医療 / 労働安全衛生 / 社会福祉援助 / 生活問題 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、外国人労働者の労働災害・職業病に焦点をあて、その実態を明らかにするとともに、特に資格外就労外国人の労働・生活問題に対する援助のあり方を検討することである。実施計画では、外国人労働者の被災実態を全国の労働安全衛生センターに寄せられる相談記録から統計的に把握することとしていたが、その可能性を探るうちに、物理的・人的制約等のためそのような過去の記録が必ずしも保存されていないこと、また記録の書式が同一センター内においても一律ではなく、系統的な統計把握が難しい実態が明らかになってきた。したがって調査対象は、主として1990年以降の記録が残されている東京労働安全衛生センターに変更することとした。19年度は、東京労働安全衛生センターに週1〜2度通い、相談記録(1991年度〜2007年度)の転記作業を行い、ほぼ終了の段階にある。現在分析を進めている段階であるが、現状で指摘できる結果の概要は、次の通りである。相談件数(新規)は、16年間で約370ケース、国籍は29カ国。これまでも指摘されてきた業種すなわち、土木・建設・解体・プレス・金属加工・塗装・飲食サービス等が多く、手指切断・損傷、腰痛など整形外科系の災害・疾患が多いこと、雇用主の労災隠しのため労災申請に関わる相談が多い傾向などは、90年代はじめに支援団体から指摘された状況と変わっていない。結果のなかで特に注目すべきは、就労開始後、比較的短期間のうちに被災する例が少なくないことである。ここに外国人の労働災害の大きな特徴があると考え、20年度は引き続き分析を行った上で、可能であればいくつかの典型事例について個別聞き取り調査を行い、事故発生の要因およびそれに関連する医療・生活問題について検討したい。
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