2008 Fiscal Year Annual Research Report
非合法滞在外国人の医療・生活問題と社会福祉援助-労災・職業病問題の現状と課題を中心に
Project/Area Number |
18730362
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
伊藤 正子 Hosei University, 現代福祉学部, 准教授 (90364702)
|
Keywords | 外国人労働者 / 労働災害 / 医療 / 労働安全衛生 / 社会福祉援助 / 生活問題 |
Research Abstract |
本研究の目的は、外国人労働者の労働災害・職業病に焦点をあて、その実態を明らかにするとともに、特に資格外国人の・生活問題に対する援助のあり方を検討することである。貝体的な方法は、東京労働安全衛生センターの相談記録(1991年度〜2007年度)を集計し、分析を行った。なお、可能であれば個別聞き取り調査を実施予定であったが、相談記録内容の補足・確認、類型化作業等についてセンター側との確認作業が必要であり、そうした作業に予想外の時間を要し、期限内に個別聞き取り調査を実施することは不可能であったため今後の課題とする。現在最終分析の段階であるが主な調査結果の概要は次の通りである。ケース総数349(労災とはならなかった医療相談も含む)。性別は男性96%、女性4%。国籍は30力国(日本1、不明21を除く)、バングラディシユ、インド、パキスタンで過半数(55%)を占めている。業種は、製造業48%、建設業28%の両業種で約8割を占める。災害原因は、巻き込まれ、墜落・転落、飛来・落下等の「業務上の負傷」が6割を占めていた。また重激業務など「作業様態に起因する疾病」(10%)、(化学物質等による疾病」(4%)も少なからずみられた。雇用されてから災害が発生ずるまでの期間では1ヶ月以内が11%と最も多く、これを含む1年未満が25%も占めた。本研究の意義は、資格外就労外国人の就労実熊についての統計データがないなかで、東京近郊だけではあるものの、労災相談実態を明らかにできたことにあるといえる。近年の派遣拡大と経済不況による解雇・派遣切りは日本人にも大きな影響を及ぼしているが、本調査結果が示す資格外就労の外国人が置かれた労働条件、雇用主の雇用姿勢、社会保障実態は、それらに関連する中小・零細企業が置かれた状況の本質を示すものであり、したがって問題の解決・改善を検討する重要な資料を提供するものと考える。
|