2006 Fiscal Year Annual Research Report
保育サービス提供における民間営利組織の政策的位置づけ及び政策理念に関する研究
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18730367
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
石田 慎二 名古屋学芸大学, ヒューマンケア学部, 講師 (30342265)
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Keywords | 社会福祉関係 / 民間営利組織 / 保育サービス |
Research Abstract |
平成18年度は、1980年代のベビーホテル対策の考察をとおして、保育サービス提供における民間営利組織の政策的位置づけについて明らかにするために、1980年代のベビーホテル対策、民間営利組織による保育サービス提供に関連する文献研究・資料研究を進めた。 1980年代に入り、ベビーホテルが社会問題化したことを契機に、それまで政策的な対応が講じられてこなかった民間営利組織による保育サービスの提供に対して政策的対応が講じられることとなった。ベビーホテル対策における民間営利組織の政策的位置づけは以下の3点に特徴をもつ。 第1は、認可外保育施設に位置づけられていたことである。民間営利組織による保育サービスの提供はあくまでも認可保育所の枠外に位置づけられ、現在のように認可保育所の運営へ民間営利組織が参入するという政策的意図はみられなかった。 第2は、規制の対象であったことである。ベビーホテル対策では、多様化する保育ニーズに対応するために民間営利組織による保育サービスを積極的に活用するという政策的意図はみられず、あくまで民間営利組織は規制の対象として位置づけられていた。ただ、その規制の内容は安全面や衛生面等について悪質なものを規制するということに重点が置かれ、民間営利組織が保育サービス分野へ参入することそのものを積極的に規制するには至らなかった。 第3は、法的位置づけの付与である。ベビーホテルの規制を強化するために、認可外保育施設に対する指導監督基準が設けられたことで、保育分野には児童福祉施設最低基準に規定される認可保育所の最低基準と無認可保育施設に対する指導監督基準の2つの基準が存在することになった。これにより、政策的意図にかかわらず、民間営利組織による保育サービスの提供に法的位置づけを付与する結果をもたらした。
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