2006 Fiscal Year Annual Research Report
「ルール違反」の常態化の検討:文化的慣習の般化の視点から
Project/Area Number |
18730384
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
村上 史朗 横浜国立大学, 安心・安全の科学研究教育センター, 特任教員(助教授) (30397088)
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Keywords | 組織文化 / 安全行動 / 慣習 / ルール違反 |
Research Abstract |
文化的慣習の般化とは、ある特定の場面の経験により獲得された信念が一般化され、別の場面においても適用されてしまうことをさす。本研究では、特にルール違反に関する般化を取り上げる。JR福知山線の脱線事故をはじめ、安全を脅かす様々な事故などの背景には、定められた手順が遵守されないなどのルール違反に関する要因がある。本年度は2年計画の1年目であり、特に産業安全に関わるルールについて、違反が行われやすいルールとそれを導く環境について探索的な検討を中心に行った。 化学系企業において、操業の安全性に関わる明示的・潜在的なルールへの意識・対処についてインタビューを行い、違反が生じやすいルールの特徴の抽出を試みた。その結果、他の目的との競合(例:迅速な処理が必要な場面)や、省略しても影響が出ない可能性が高い作業の省略(例:確認作業)について、比較的違反が行われやすい傾向があった。 また、企業成員に対する質問紙調査の分析も行い、関連する認知傾向や価値観等の個人特性と違反容認意識との関連を検討した。その結果、仕事の速さという競合する目標を優先する意識や、トラブルを他者と共有せず自分自身で解決すべきとする組織風土が、違反容認意識に正の効果を持っていることが示された。また、一般的な違反容認意識が高い場合、低い場合と比較して個別の不安全行動間の相関が高く、般化が生じていることが示唆される。
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