2006 Fiscal Year Annual Research Report
低自尊心者の下方螺旋過程に対する独自ネットワークの効果についての検討
Project/Area Number |
18730385
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
長谷川 孝治 信州大学, 人文学部, 助教授 (20341232)
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Keywords | 自尊心 / 安心さがし行動 / 他者からの評価 / 自他の一体性 / 恋愛関係 |
Research Abstract |
低自尊心者が、過度の安心さがし行動を採ることによって、親しい友人からの評価を引き下げ、拒絶を引き起こすという下方螺旋過程の存在が示されてきた。本研究の目的は、このような不適応な対人プロセスが、重要他者と共有しない、多様で独自なネットワークを多く持つことによって、当該重要他者との間で発生するストレスを低減させ、精神的健康を維持させる機能を持つだろうという仮説を検証することである。 本年度は、この仮説の前提である、低自尊心者の下方螺旋過程を、親密な関係にある異性ペアを対象として検討した。同性の友人ペアを対象とした従来の知見が、異性ペアでも同様に見られるかを確認するためである。恋愛関係にある恋人ペアに対して調査を行った結果、次のことが明らかになった。まず、高自尊心者で安心さがしをあまり行わない男性の群が頻繁に行う群よりもパートナーの女性からの評価が高いことが示された.また、男性の安心さがし低群において、高自尊心者よりも低自尊心者の方が女性の評価が低かった。この結果から、男性が自分に自信を持ち、安心さがしを恋人にしない状態がパートナーの女性からの評価を高めることが示唆された。 また、低自尊心者の男性が安心さがしを行う群は、行わない群よりも恋人の女性が認知する自他の一体性が低いことが示された。この結果から、男性の低自尊心者が、安心さがしを行うほど、恋人の女性が自他の一体性をより低く認知することが示唆された。これは、従来の低自尊心者の下方螺旋過程についての知見と同様のパターンを示すものである。抑うつの場合と同様に、低自尊心者の下方螺旋過程が、同性ペアだけでなく、異性ペアにおいても見出されることが明らかになった。 来年度は、同時に調査されたネットワーク測度に関する解析を進めるとともに、新たな調査と実験を行い、上記の仮説の検討を進める予定である。
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Research Products
(6 results)