Research Abstract |
本年度は,従来の説得納得ゲームが扱っていた範囲を拡張し,ゲーミングとしての完成度を高めるために,国内における実践を通じたゲームのルール開発と,海外での説得納得ゲームのゲーミングとしての評価を求めるヒアリングおよびルール開発のための資料収集を行った。 国内での実践について,当初は従来のルールによる実践とその評価を計画していた。ところが,本研究の目的の一つであるゲーミングの普及という点に関して,対象範囲が計画段階での予想よりも広範にわたることが,産官学各種セクターとの連携を通じた実践から明らかになってきた。とりわけファシリテータの技能に依存しないルール開発の必要性が判断されたので,「納得」の可視化など,新たなルールの開発について実践を通じて行いながら,プレーヤの評価を収集した。 海外でのヒアリングでは,ゲーミングとしての完成度を高めるため,国際シミュレーション&ゲーミング学会のサマースクール(2006年8月,オーストリア),および国際ゲーム見本市(2006年10月,ドイツ)に参加し,ゲーミングの専門家に対して説得納得ゲームの評価を求め,また,コミュニケーション教育に利用可能なゲームの収集も行い,ルール開発と完成の参考にした。 成果の公刊については,販売と交渉をテーマとした説得納得ゲームについて,『シミュレーション&ゲーミング』誌に発表した。また,説得納得ゲームの発想を一部取り入れた新たなゲーミング『ICHIBA』を開発し,その成果が同誌において原著論文として掲載が決まった。研究発表については,社会的迷惑の検討について日本社会心理学会第47回大会発表論文集で,悪質商法対策の検討について日本消費者教育学会第26回全国大会で,それぞれ行った。さらに,ゲーミングの普及に向けた書籍の出版について,ナカニシヤ出版と発刊のスケジュールを打ち合わせ,現在原稿を準備中である。
|