2006 Fiscal Year Annual Research Report
複合的な自己評価維持・高揚のための自己カテゴリー化過程の検討
Project/Area Number |
18730387
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
礒部 智加衣 広島大学, 大学院総合科学研究科, 助手 (20420507)
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Keywords | 自己カテゴリー化 / 自己評価維持・高揚 / 個人的自己 / 集合的自己 / 集団過程 |
Research Abstract |
自己カテゴリー化を規定する要因を検討するために以下の予測をたて、2つの検討を行った。その規定因は、集団内の関係性から得られる魅力(心理的紐帯、メンバーとの相互作用によって得られる利益、など)と集団間の対比から得られる魅力(カテゴリーに付随する情報、不確かさの解明、など)に大別できる。そして、集団内の関係性から得られる魅力は、基本的な規定因として機能する一方で、集団間対比から得られる魅力は、それが自身の社会的価値の高まりに意味を持つときにおいてのみ効果を示すという予測を立てた(社会的カテゴリーの相対的有意味性仮説)。 まず、想定法による調査によって、集団問対比から得られる魅力を規定すると予想される集団特徴(集団間地位・集団間変動可能性)がその集団への愛着(common-identity group vs.common-bond group)の形成にいかに影響するのかを検討した。その結果、個人にとって集団が望ましい自己を確証しうる時においてのみ、集団への愛着(common-identity group)を高めることが示された。 次に、実験によって、集団内の関係性から得られる魅力と集団間の対比から得られる魅力の相互作用が集団アイデンティティの高まりに及ぼす影響を検討した。集団内の関係性から得られる魅力を高めると考えられる成員問の相互作用は、集団アイデンティティを高めていた。一方で、集団の優勢性の顕示は、成員間の相互作用がなく集団間文脈の顕現化がなされた条件においてのみ、その影響が認められた。 以上より、状況要因が自己カテゴリー化に及ぼす影響の特定化が進んだ。来年度は、個人特性がそれらをいかに調整するのかについて検討する予定である。
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