2007 Fiscal Year Annual Research Report
複合的な自己評価維持・高揚のための自己カテゴリー化過程の検討
Project/Area Number |
18730387
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
礒部 智加衣 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 助教 (20420507)
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Keywords | 自己カテゴリー化 / 自己評価維持・高揚 / 個人的自己 / 集合的自己 / 集団過程 |
Research Abstract |
自己カテゴリー化を規定する要因として明らかにされた要因に関して、社会人を対象とした調査を実施し、その汎用性を検討した。 まず、組織の魅力を測定するために、集団内の関係性から得られる魅力(心理的紐帯、メンバーとの相互作用によって得られる利益、など)と集団間の対比から得られる魅力(カテゴリーに付随する情報、不確かさの解明、など)の2因子を想定した測度の開発を試みた。社会人組織においても、集団の魅力は2因子に分けられることが確認された。同時に、個人特性についても測度を開発した。次に、集団内の関係性から得られる魅力と集団間の対比から得られる魅力と個人特性との関係について検討した。さらに、組織の魅力と個人の特性のミスマッチが組織への愛着を低減させたり、社会移動を動機づける過程について、さらにはそれがストレスに及ぼす影響を明らかにした。 また、前年度に実施した実験において用いた最小条件集団とは異なり、現在の組織への愛着には、会社の展望や自身のキャリア志向などが極めて大きく影響することが示された。さらに、上司との関係もしくは自分と重要他者との評価のズレが組織に対する満足度に影響することも明らかになった。これらの要因は、集団内の関係性から得られる魅力と集団間の対比から得られる魅力をそれぞれ規定すると考えられる。 来年度は、社会変動の可能性の認知を介しての会社の展望もしくはやキャリア志向等が、上述した関連性をどのように調整していくのかについて検討する。それにより、個人-対人-組織-社会という階層性を考慮した上での自己カテゴリー化過程が解明されると考える。
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