2008 Fiscal Year Annual Research Report
複合的な自己評価維持・高揚のための自己カテゴリー化過程の検討
Project/Area Number |
18730387
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
礒部 智加衣 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 助教 (20420507)
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Keywords | 自己カテゴリー / 自己評価維持・高揚 / 個人的自己 / 集合的自己 / 集団過程 |
Research Abstract |
経営組織を対象に研究を行った。特に, 自己(観)を満たすという動機づけが, 集団愛着・集団移行に影響を及ぼしうる過程を多面的に検討した。その結果、統制された実験下とは異なり, 現在の組織への愛着には, 会社の展望や自身のキャリア志向などが極めて大きく影響することが再確認された。加えて、上司との関係性が向組織的行動を促進することが示された。これらの結果は、組織における愛着においても、心理的紐帯(e. g., Lewin, 1948)、内集団の社会的価値(e. g., Cartwnght&Zander, 1953)もしくは社会的カテゴリーの顕現化(e. g., Tajfel&Turner, 1979)の2側面が影響することを確証するものである。 さらに、社会変動の可能性の認知に加え、集団イメージ(Ikegami&Ishida, 2007)が集団移行を抑制することが示された。下位(層)集団(=一般職)に所属しており、上位(層)集団(=管理職)に移行できる可能性を知覚していない場合でも、下位(層)集団へのポジティブイメージをあまり持たない人は、移行を動機づけられることが示された。 これまでに実施した実証的な研究の成果について再吟味を行い, 個人-対人-集団・組織-社会という階層性を考慮した上での自己カテゴリー化過程について考察がなされた。組織集団における心理的紐帯と社会的カテゴリーの相互影響過程について、因果関係を含めさらに検討することが今後の課題である。
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