2006 Fiscal Year Annual Research Report
もっともな理由が利用可能な状況における自己の態度帰属と態度規定因への気づき
Project/Area Number |
18730389
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
山田 歩 学習院大学, 文学部, 助手 (00406878)
|
Keywords | 商品選択 / 経路選択 / 選択理由 / 誤帰属 / 態度 / 覚知 |
Research Abstract |
しばしば我々は自からの選好や選択を左右している要因を正確に同定することができない。そのため、いかにも選択を左右するようにみえる要因に基づいて、これらを理由付けることが先行研究から確認されている。本研究では、選好と選択についての誤った理由付けが誘発されやすい環境における選択者の反応を2つの研究を通して分析した。 研究1 経路選択 しばしば、経路選択において、時間・距離が節約される程度や配置された店舗の利便性は、その経路を選択する有力な判断材料になる。本研究では、こうした一見誰もが重視するような要因ではない要因によって、経路が選択されることがあること、また、そうした決定においては、選択者は異なる要因に基づいて説明することがあることを、地図を用いた選択課題において検証した。 先行研究の知見と一致し、距離と曲り角の数の等しい複数の経路が選択肢として存在するとき、出発地から最初あるいは最後に位置する角を曲る経路が選ばれやすいことが確認された。また、このとき各経路に店舗などを視覚的に配置すると、選択者はそうした店舗の種類に基づいて選択を行ったと誤って認識し、それらへの評価をゆがめることも権かめられた。 研究2 商品選択 ロゴの反復呈示はその商品への選好を形成させることが知られている。こうした影響が自覚されていなければ、商品選択者は、ロゴの反復呈示によって誘導された選好を、別の要因によって理由付けることになるだろう。こうした理由が選択を正当化するとき、選択者がその商品へ示す選好は強くなると予想した。こうした予想を、洗剤の洗濯課題において検証した。 洗剤は、商品ロゴと商品効能のメッセージの2属性からなる。最初に、実験参加者に、商品ロゴの半数を多く、残り半数を少なく反復呈示した。次に、高頻度呈示洗剤と低頻度呈示洗剤をペアにし、購入したいと思うほうを選択させた。このとき、ロゴのみが与えられる条件と、ロゴにメッセージも付加される条件を設定した。最後に、選択理由などをたずねた。 その結果、高頻度呈示洗剤は低頻度呈示洗剤よりも好まれることが確認された。また、メッセージがある場合のほうが、その傾向が強まることが確認された。また、選択理由の分析からは、選択者はロゴの影響を必ずしも自覚しておらず、メッセージの良し悪しにしたがって商品を選択していると回答することが確かめられた。
|