2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期の三者関係の成立と維持にかかわるコミュニケーションスキルの発達的研究
Project/Area Number |
18730409
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
礪波 朋子 Kyoto Koka Women's University, 人間科学部, 講師 (20377229)
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Keywords | 発達心理 / 幼児 / 三者関係 / コミュニケーションスキル / 対話 / 協同課題 / 大人 |
Research Abstract |
本研究は子ども達が円滑な仲間関係を築くために必要なコミュニケーションスキルについて検討するため、幼児3人組の相互作用を詳細に分析し、二者間コミュニケーションと異なる三者間コミュニケーション独自の特徴を明らかにすることを目的としている。本年度は、幼児3人組のコミュニケーションとの比較データとして、大学生が3人1組で協同課題を行う実験場面を設定し、大人の三者間コミュニケーションを成立・維持させるスキルについて検討した。仲の良い女子大学生3人組が、ブロックや人形を使って家を造るという課題を設定し、各発話及び行動について分析した。その結果、幼児のコミュニケーションと比較して、大人3人組では協同課題についての意識が高く共通認識を得るための発話が多い、協同課題に関する他者への質問時にはグループ内の発話数の多さにより視線を他者に向けるか対象物に向けるかが異なる、宛先を特定しない発話が多いといった特徴がみられた。また、幼児と同様に笑いの共有が円滑なコミュニケーションの維持に効果的であったが、幼児によく見られた模倣はあまり見られなかった。三者間の日頃の関わり合いの程度は、実験場面での三者間コミュニケーションの特徴に顕著な影響は与えていなかった。大人3人組の協同課題の実験場面では、課題意識が強いため、宛先のない発話を行っても他の二者のどちらかが応答する可能性が高く、日常場面の三者関係と比較して安定した対話の構造がみられた。本年度の研究結果は、三者間のコミュニケーションを成立させ維持させるための必要なスキルについて示唆するものであった。
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