2006 Fiscal Year Annual Research Report
高次水準リテラシーとしての複数テキスト読解力の解明と教育的支援
Project/Area Number |
18730410
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 敬一 静岡大学, 教育学部, 助教授 (90313923)
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Keywords | 高次水準リテラシー / 読解力 / 複数テキスト / 論争的テキスト / 外的方略 / 読解目標 / テキスト間関係の理解 / 大学生 |
Research Abstract |
今年度は、複数テキスト、特に論争的な関係にある複数テキスト間関係の理解に焦点を当てて、大学生を対象とした次の3つの実験・調査を行った。 1.論争的な複数テキストの理解過程と外的方略利用の効果 研究代表者が行った先行研究の知見を受け、複数テキスト読解力を高めるための1つの手段として外的方略利用に注目し、その効果を調べる実験を行った。具体的には、発話思考法を用いて論争的な複数テキストの理解過程をオンラインで調べ、さらにその理解過程に及ぼす外的方略の効果を検討した。その結果、テキスト関係をどのように理解していくのかという過程の詳細、理解過程においてみられる問題点を明らかにすることができた。外的方略の利用については、理解の所産に影響したが、理解過程に及ぼす影響は認められなかった。 2.論争的な複数テキストの理解に及ぼす個人差要因の影響 既有知識、外的方略利用、学年が論争的な複数テキストの理解に及ぼす影響を調べた。パス解析による検討の結果、(a)既有知識はテキスト内議論の処理(の促進)を介して間接的に影響すること、(b)外的方略利用(各テキストの要約)なテキスト内議論の処理(の促進),を介して間接的に影響するとともに直接的にも影響(促進)すること、(c)学年は直接的に影響(促進)することが明らかになった。 3.論争的な複数テキストの理解に見られる問題と介入 上記「1」「2」で得られたデータを分析・再分析した結果、論争的な複数テキストを理解する上で大学生に特徴的な問題があることがわかった。そうした問題を引き起こす1つの原因として、課題表象の形成がうまくできていない可能性が示された。そこで、課題表象の形成に影響する要因として読解目標とテキストの構造解析を実験的に操作し、それによって論争的な複数テキストの理解が改善するか調べた。この実験の結果については、現在分析甲である。
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