2007 Fiscal Year Annual Research Report
高次水準リテラシーとしての複数テキスト読解力の解明と教育的支援
Project/Area Number |
18730410
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 敬一 Shizuoka University, 教育学部, 准教授 (90313923)
|
Keywords | 高次水準リテラシー / 読解力 / 複数テキスト / 論争的な複数テキスト / テキスト間関係の理解 / 誤り分析 / 課題表象 / 論拠の評価 |
Research Abstract |
今年度は、複数テキスト読解力の解明に(1)(2)を、また、複数テキスト読解力の育成に関する研究として(3)を行った。 (1)論争的な複数テキスト間関係の理解における誤りの分析 申請者がこれまで行ってきたいくつかの実験で得られたデータを再分析し、大学生がテキスト間関係の理解においてどのような問題を示すのが明らかにすることを試みだ。具体的には、同じテキストを読んだ257名による理解テストの結果を再分析した。その結果、特徴的な誤りとして、1.各テキストの理解・記憶の問題に由来する誤った関係づけ、2.複数テキスト間の論点を適切に把握できないことによる誤った関係づけが見出された。 (2)複数テキストを利用した論拠の評価 複数テキスト読解力の1つとして、各テキストの論拠を別のテキストに照らして評価する能力に注目し、大学生を対象にして、2つの予備実験と2つの本実験を行った。これらの実験結果については、現在分析中である。 (3)適切な課題表象形成の促進による介入実験 これまでの研究から、大学生が複数テキスト間関係を適切に把握できないことが示された。昨年度、その1つの原因として課題表象の形成がうまくできていない可能性を考え、課題表象の形成に影響する要因として読解目標を操作し(テキストの構造解析とテキスト間関係の理解を求める条件、テキスト間関係の理解を求める条件、統制条件)、それがテキスト間関係の理解に及ぼす効果を調べる実験を行った。実験の結果、読解目標の違いによる理解の違いは見出されなかった。
|