2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730422
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
湯田 亜由子 (藤崎 亜由子) Osaka University of Economics and Law, 教養部, 講師 (50411690)
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Keywords | 発達心理学 / 虫あそび / 生物概念 / 環境教育 / 就学前児 / 命の教育 / ヒトと動物の関係学 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 自然生命体と人間との交流がもたらす発達的意味を解明し, 現代日本における自然観・生命観の一端を明らかにすることにある。特に、本研究では「虫」という身近でありつつ、見逃されがちな生き物と人間との関係に焦点を当てて研究を行うものとする。以上の目的のために、2008年度に実施したことは、観察データの収集と質問紙調査およびその分析である。 (1) 幼稚園での実態観察 : 本年度も引き続き虫に対する子どもたちの反応や活動(言葉かけや虫あそび)を記録した。(2)就学前児を対象としたインタビュー調査の分析 : 子どもたちの生物概念を探る目的で実施した縦断的インタビュー調査(2003〜2007年度、毎年150名程度)の結果をデータベース化した。また、身近な動物(ウサギ、カメ、キンギョ、虫)に対する子どもたちの好嫌感情の発達についての調査結果をまとめ、年少の子どもたちは動物の種類に関わらず生物一般への関心が高い一方で、年長児になると動物の種類による好き嫌いや、性別による好き嫌いの差が生まれることを示した(大阪経済法科大学論集・印刷中)。次年度は動物への好き嫌い感情がどのようい生まれるのか、観察データをもとに実態の解明を行いたい。(3)大学生を対象とした質問紙調査 : 生き物との出会いの原風景をさぐることを目的とした調査を行った。その結果の一部を分析した結果、男女ともにイヌ(ペット動物)との出会いをあげる者が最も多かった。男女で比較すると、男子は「ハ虫類・両生類」と「虫」との出会いを女子よりも多く報告し、一方で女子は「小型哺乳類」「トリ」を多くあげることが示された。今後、その出会いの内容を含めた分析を行っていきたい。(4)データ解析 : 虫をめぐる幼稚園児の活動の記録から、子どもたちの言葉や行動を書き起こしトランススクリプションの作成作業をすすめている。このデータをもとに、次年度は虫をめぐる遊びの構造を解明するとともに、虫の命をめぐる子どもたちのやりとりの実態を明らかにしたい。
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