2007 Fiscal Year Annual Research Report
青少年における非当事者としての感情反応-その個人差と社会的意味-
Project/Area Number |
18730423
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
木野 和代 Hiroshima International University, 心理科学部, 助教 (30389093)
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Keywords | 社会的感情 / 社会事象 / 無反応 / 青少年 / 個人特性 / 社会的スキル / 共感 |
Research Abstract |
本年度は,肯定的/否定的な社会事象への感情反応について,主にその個人差に関する検討を行った。 まず,肯定的/否定的な社会事象に対する感情反応がみられないこと(無反応)に関連する個人的要因(対人行動の特徴)や状況要因を検討した。その結果,社会事象に対して無反応であることは,社会的スキルの低さや身近な人にあいさつをしないなど,他者への行動レベルでの関与の低さと関連することが示唆された。また,状況要因については,同じ事象でも親しい人に起こった場合には無反応となりにくいことなどが示された。以上から,身近な人へのあいさっや社会的スキルの習得による他者との交流の活発化を通して他者への関心を高めること,そして社会事象を身近にとらえさせ,これへの関心を強めることが,社会事象への感情反応生起につながるという過程が推測された。 さらに,否定的な社会事象(大地震や大事故)に対する感情反応に関わる個人特性(共感的態度,生き方など)について検討した。その結果,人間相互の理解・共感の可能性や自他共存尺度で得点が高い人の方が,また,生き方において能動的実践的態度が強い人の方が,恐怖・悲しみを喚起しやすいことがわかった。社会・他者との関わりの中で生きていく意識が高く,積極的に人生を歩む態度の強い人ほど,本入の力で統制しがたい事象に対して当事者ではなくても恐れや悲しみを抱くものと考えられる。社会事象への感情反応生起における自己および他者に対する積極的態度の重要性が推察された。 この他,他者事象に対する感情反応の対人的機能や変化過程の検討に向けて予備調査(自由記述と面接)を行った。来年度の本調査に向けてデータを整理中である。
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