2007 Fiscal Year Annual Research Report
帰納的推論学習におけるメタ認知の脳過程に関する電気生理学的研究
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18730424
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
岩木 信喜 Kyushu Women's University, 人間科学部, 准教授 (80341593)
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Keywords | 帰納的推論 / 随伴性判断 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
目的 仮説の確信度が随伴性判断に与える影響を検討した. 方法 対象者:大学生16が実験に参加した.課題と手続き:被験者は2-4-6課題を改変した課題を行った.1ブロックは9試行からなり,各試行ごとに仮説(例:偶数)と検討内容(例:奇数が当てはまるかどうか),及び,具体例(例:1,3,5)が用紙に記入されていた.9試行の内訳は,仮説の単純な確証を行う試行,仮説の矛盾を検知する試行,仮説の矛盾が検知されない無矛盾試行がそれぞれ3試行ずつであった.被験者はそれをゆっくりと音読し,具体例が真の法則に当てはまっているかどうかのFB(YesかNo)を視覚的に受けた.FBは被験者がボタンを押すことによってディスプレイ上に呈示された.そのFBを受けて,被験者は検討したことが真の法則にどの程度関連していると現時点で考えられるかを5段階で評価した.被験者は2ブロックの練習の後,計15ブロックの本試行を行った.特に,矛盾の検出が課題遂行方略として有効なことであり,ポジティブな意味を持つことを教示し,その教示のもとで練習を行った.脳波の測定と分析:脳波は,両耳朶の平均電位を基準として,前頭部,中心部,頭頂部から導出した.FBを与えた時点を基点(0時点)として脳波をFB前700ms(ボタン押し前200ms)からFB後800msまでを加算した 結果と考察 フィードバック陰性電位(FN)の振幅は確証試行よりも矛盾試行のほうがより陰性であり,先行研究の結果を支持するものであった.また,確信度に適度なばらつきが認められた9名を対象に、確証試行について確信度5(最高)とそれ以下の試行を分けて加算し、刺激呈示後450ms〜650ms区間の平均振幅値(頭頂部位)と失敗に対する柔軟性尺度得点との相関を検討したところ、前者の試行では0.32(ns)であったのに対し、後者では0.65(p<.05)であった。失敗に対する柔軟性が低い被験者ほど、確証事象に対する自信が十分ではない試行において電位が陰性に触れる傾向が認められ、ネガティブな評価をくだす傾向性との関連が示唆された。
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