2007 Fiscal Year Annual Research Report
行政処分運転者に対する教育の有効性検証に関する研究
Project/Area Number |
18730428
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
岡村 和子 National Research Institute of Police Science, 交通科学部, 主任研究官 (10415440)
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Keywords | 交通違反 / 飲酒運転 / 態度変容 / アルコール依存症 / リスクテイキング |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)行政処分を受けた運転者の教育に使われている運転適性検査の有効性を検証する、(2)事故・違反歴またはその他の問題行動を踏まえて行政処分を受けた運転者を分類し、より効果的な教育を提案する、(3)事故・違反等の客観的指標により講習の効果を評価する、の3点から構成される。 昨年度までに、(1)運転適性検査の総合的な検討をドイツ人研究者と共同で行うとともに、(2)免許停止あるいは取消処分を受けた運転者の属性や事故違反歴を基に、行政処分運転者の分類を行った。(1)と(2)の結果、飲酒運転違反は、他の交通違反・交通事故とは親和性が低く、飲酒運転をした者に特化した教育の必要性が示唆された。 さらに、(1)については、酒気帯び運転が発覚した運転者(飲酒群)と一般ドライバー(対照群)への調査結果から、以下の点も明らかになった。すなわち、既存の運転適性検査は、飲酒群の抱える問題を指摘するためのツールとしても、本来の意味での運転適性を診断するツールとしても有効とはいえない。同時に行った質問紙調査からは、飲酒群は対照群と比較して、飲酒行動と運転行動の両方に特徴があることと、アルコール依存症を含む問題飲酒傾向の出現度合いについての基礎的資料を得た。しかし、同時に、問題飲酒の指標と飲酒運転に関するデータの相関は弱く、問題飲酒以外に飲酒運転行動を説明する要因を検討する必要性が示された。そこで、昨年度は飲酒群に対して面接調査を行い、問題飲酒指標に加え、飲酒運転経験に関する詳細情報、飲酒運転と関連する心理的構成概念に関するデータを収集した。以上の結果の一部は、論文としてとりまとめ投稿中でいる。 研究の最終年度となる今年度は、飲酒群と対照群の事故・違反歴を比較分析するとともに、昨年度までに得られた研究結果を、論文としてとりまとめ発表する。
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