Research Abstract |
本研究では,療育的視点から超重症児(者)を対象として,働きかけに対する定位反応の発生・発達的変化を評価する。それをもとに,外界の刺激に対する超重症児の認知発達における援助のあり方を検討することを目的とする。 初年度の結果を受け,本年度は,今年度はデータ収集精度の向上に努め,除外試行数の減少をはかった。具体的には,スイッチの装着場所および状況の改良,プローブの変更である。結果,分析対象とならない試行数は減少した。 対象者の反応については,継続して日常生活における行動評価を実施した。加えて場面を設定し,療育者(家族)による呼名,鈴等による音を提示し,VTR撮影による反応生起および心拍変動を測定した。本年度は昨年度からの継続評価として2事例,事例拡大として新たに2例を対象に加え,総事例数は6例を分析対象事例とした。継続評価の2事例にっいては,昨年度同様の方法により評価を継続して実施した。結果,療育者の呼名に対し,定位反応を反映するとされている心拍の減速反応の反応数が増加した。また,1事例については自発的な動きとの関連にも着目しなから分析を継続した結果,自発的な動きが確認されたときほど,心拍の減速反応も多く確認された。 新規の2事例については,昨年度からの4事例と同様の手法を用いて評価を試みた。結果として,鈴等の音よりも呼名に対し心拍変動が多く確認された。また,全体の傾向として,呼名に対して定位反応を反映する心拍の減速反応が多く見られるグループと,楽器等の音でそれが多く出現するグループに分けられる可能性が示唆された。この点については,今後も継続した評価が必要である。 最終年度においては,継続的評価の実施とともに,上記結果の精緻化を図りたい。また,2年間の継続評価を行った事例については,縦断的分析も試み,活動の継続性の効果についても検討していきたい。
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